しとろんのなかみ。

作った曲について、とかとか。

「夏星」制作秘話

どうも、しとろんです。

まずは、夏星を聞いていただいたということで、本当にありがとうございます。超感謝してます。

お陰様で2000回再生となりました!マイリスも50いくか……と毎日布団の上でわくわくごろごろしております(曲作れ

 

今回はこの「夏星」の制作秘話や、楽曲解説をしていきたいと思います。これは個人の解釈を否定するものではないですが、僕なりの「夏星」を知りたいという方のみ読み進めてください。また、この曲には込められた想いが強いので多少長くなりますがお許しを。笑

 ※時間ない方は「お知らせ」だけでも読んでいってくださいね!笑

 

 目次

  

 

1.「夏星」に元々、歌詞はなかった

 

この曲はもともとピアノ伴奏のみで、ボーカルはありませんでした。それが出来たのが去年の7月。本当に地元の夏の星空を見上げながら作ったんですよ笑 タイトルはこの時は、夏星と決めました。安直だけれど、まさに夏の星を表現した曲だったからです。

その時にできた伴奏は、niconicoに「piano ver.」としてリンクを貼っているので良ければ聴いてみてくださいね。あ、リンク貼れた。

soundcloud.com

 

2.作詞をしようとしたワケ

 

歌詞は翌月8月に完成しました。受験生真っ只中で時間がなかったので、塾に行くまでの自転車の往復で歌いながら作ってました笑 作詞が僕なりのストレス解消法だったんですよね。都会の真ん中の塾から家に帰るにつれてだんだん星が綺麗に見えていくようになるのが印象的でした。

ところで、実はこの「夏星」、作った当初は伴奏で満足していたので歌詞をつける予定はありませんでした。でも、あるニュースを聞いてその考えが変わります。

そう、主コメにも書きましたが、一つ下の幼馴染が女優になって、しかも映画にも出ると知ったのです。最初は単純に、すげええって思いました。でも、その次に湧き上がってきた感情は、喜びでも誇らしさでもなく、「悔しい」「羨ましい」だったんです。俳優になったことが、テレビに出れたことがではなくて。彼女が自分の夢に向かって努力していることが、心底羨ましたかったんです。そして、彼女は17にして東京でもう仕事をしてるんだと思ったら、色んな想いと共に歌詞が湧いてきて、それが「夏星」にぴったりじゃないかということで作詞に至りました。とはいえ、歌詞の内容の半分はフィクションです、そっちのほうが綺麗なので笑 

以下ではこれらを前提に、歌詞の解釈を紹介していきますね。

 

3.歌詞の解釈

 

#1番Aメロ前半

「星が綺麗だね」

白いワンピース靡かせ微笑んでいた君を 

今更思い出すなんて

主人公の回想から曲は始まります。

2人が育ったのは星がよく見えるちっぽけな田舎の町でした。幼い頃、2人でよく星空を見たことを思い出します。「今更」から、彼女とは長い間会っていないことが伺えます。

 

#1番Aメロ後半

少し見ないうちに 君は三原色の中

赤青緑の輝きに 変わってた 

 MVでもわかる通り、過去から現在に戻り、少女はいなくなっています。

少女の現在の居場所はこんな田舎ではなく、「三原色の中」 

三原色って赤青黄色じゃないの?って思ったあなた、鋭いです。色の三原色は赤青黄色、赤青緑は、光の三原色ですね。彼女が電子を媒体として見られる存在になったということです。実際に僕は、幼馴染が急にCMに出てきて度肝を抜きました笑

「え、いつの間に!?」と驚く場面がこの物語の「起」となります。

 

#1番Bメロ

扉で閉じ込めた踊り子たちが 鎖解き飛び出して

花を咲かせ始めた君のもとへ 歌い出したんだ 

 

ここはこの楽曲の中でも抽象度が高く、難解かと思います。

「心が躍る」という慣用句から、踊り子という言葉を着想しました。ここでは、胸の高鳴り、ワクワクする心の象徴だと思ってください。普通で退屈な日々の中(僕の場合は受験でしたが)、自分のしたいことを封印していた。でも、夢を追う彼女を見ていたら、閉じ込めていた創作意欲が、モチベーションが、止まらなくなる。

俺だって挑戦したい。

「花を咲かせ始める」は、才能開花という言葉から来ています。ここでは、夢をかなえ始めているといったニュアンスでしょうか。そんな君に触発されて、僕は歌を歌うよと。そしてサビに続きます。

 

#1番サビ

誰もが夢に追いかけた都会の空は綺麗ですか

網戸越しに瞬く"今"は なぜか燻んでた 

 1番(と3番)サビは一応、歌の中の歌という位置づけで、メッセージも直球です。しかし、主人公はもちろん彼女に実際に聞かせているのではなく、田舎から彼女を想って歌うのみです。そう、家の中から、網戸の向こうの星空を見ながら「君」に思いを馳せます。“今”という言葉、もともと本当は単に星という歌詞でした。でも、メロディに合わないので婉曲表現っぽく変えてみました。後で詳しく語りますね。

 

#2番Aメロ

「輝く瞳に輝きは映らない」

穴だらけの夜に 零した肉と皮 

 肉と皮とはすなわち「皮肉」のことです。こういうの好きな同志いませんか()

穴だらけの夜とは田舎ならではの満点の星空のことです。1行目の話も、先ほどのサビの“今”同様、後でまとめてお話しします!「夏星」に歌詞をつけるに至った理由となる大事なところなんですよここ。とりあえず次に行きましょうか。

 

#2番Bメロ

ひとつ ひとつ 君が積み上げる

僕はただ仰ぐばかり

喉の奥のこの手を表に現わせないまま 

 積み上げるは「努力する」とほぼ同義です。なんとなく、努力って積み木のようなものじゃないかなと思ってるんですよね個人的に。正しい場所に正しいものを置かないと崩れちゃう、みたいな。そんな君と、何もできていない僕。残酷な対比です。

後半は「喉から手が出るほど」という慣用句からきています。元々、渇望するといった意味ですが、主人公はその手を表に出せていない。つまり、望んでいる割に行動できていないということです。その原因は次のサビに端的に表れています。

 

#2番サビ

平均台から遥か遠くへ 歩き始める勇気なんか

誰もが輝いて見えた 網戸越しの歌 

平均台って体操で使われるアレですけど、勿論そういう意味ではなく。平均的な生活、皆の言う「普通の道」みたいなことです。いい大学に行って、いい会社に行って、的な。少なくとも俳優や作曲家で食っていく道は普通ではないでしょう。そんな平均から並外れた方向へ進む勇気が主人公にはありません。それが行動できていない原因です。だからこそ、やりたいことを見つけて努力している人たちが眩しい。「網戸越しの歌」というのは、室内、つまり安全圏にいていつも挑戦をしようとしない“行動力のない僕の情けない歌”といった自虐的、自嘲的な意味です。

 

#3番サビ

僕が今も夢に追いかける 都会の空は綺麗ですか

こんなくすんだ光ならいいや 見えなくなるまで 

2番サビの後の間奏で回想が再び入ります。いつの間にか距離ができてしまった二人。僕はこのままでいいのか。本当にそれでいいのか。葛藤が間奏のうちに駆け巡ります。

そして、サビ。物語でいう「転」です。都会の空を「僕も目指してるんだ」と明言したうえで、星が「見えなくなるまで」つまり、都会に出られるように頑張ろうという決意の場面です。具体的な夢の中身は、聞く人それぞれだと思います。僕ならやっぱ音楽かな?

 

 #大サビ

そう あの日君と見てた星のように

ふたり隣並べるのだろうか

宇宙へ宇宙へ宇宙へ 手を伸ばして

網戸開けたなら 

 そして、「結」です。数々ある星々の中に連星という、二つ隣り合わせに光る星があるのですが、一応そのことを言っています。幼い時、二人で見たんでしょうか。

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連星

「そらへそらへそらへ手を伸ばして」のところ、凄い気に行ってます(唐突)単純に語呂がいいし、メロディも急に高くなって(最高音hiF)盛り上がりませんか?僕だけ?

解説に戻ります。。最後の「網戸開けたなら」は、行動力のなさのメタファーだった網戸を開ける、ということはこれから行動をするぞって感じですよね。要するに「俺たちの戦いはこれからだ」エンドでした。

 

さて、ここまで見てきて歌詞の中に、「星」という言葉やまたその存在を表すものが多く登場し、重要な位置を占めているのに気づきましたか?ここに、夏の星を表す伴奏にこの歌詞をつけなきゃ!と思った理由です。詳しくは以下の通りです。

 

4.「星」に託された意味

僕は歌詞を作るとき、なんらかの隠喩(メタファー)を持たせることが多いです。先ほどの網戸もその一例です。でも、今作では、「星」には網戸よりもはるかに多くのメタファーによる意味づけをされています。そこには、田舎と都会という対比も相まっています。わかりやすいのでまずはそこから。

  • 都会では見られない、田舎の象徴

もう情報化社会だから上京なんてしなくたって、とか。田舎でもかなう夢はある、とか。そういうことではなくて。あくまで象徴です。

夢を目指す場所を都会と呼び、夢を追わない場所を田舎だと、主人公は対比的に思っているという感じです(現代文臭いなこれ)。そして、これは「星が見える」ということが、イコールで行動できない情けない自分を意味するわけです。だから、網戸越しに瞬く「今というほうき星(!?)」がくすんで見えたわけですね。えー、ほうき星は冗談です。※元ネタ、BUMPの天体観測。 歌詞解釈で言及していた“今”というのは、一通り説明した今のほうが理解しやすいのでないでしょうか。つまり、「田舎にいる」「星が見えている」「網戸の内側にいる」「行動できていない」そんな僕の現状。それをひっくるめての“今”というわけです。

  • 著名人という意味の「スター」

僕は去年の夏ふと、都会で星が見えないのは地上に多くの「スター」がいるからって考えたら歌詞っぽいなと。よく俳優の卵とかを「原石」とか言ったりしますけど、要するに、才能を開花させた人、夢をかなえた人たちって当たり前だけど輝いてるじゃん?と。そしてこれが2番メロに冒頭につながります。

「輝く瞳に輝きは映らない」

主人公が星空の下で零した皮肉でしたね。ここでは2つの星のメタファーを両方使っています。一つ目で星は「田舎の象徴」だった。裏を返せば、「星が見えないこと」は都会の象徴です。そしてそれを更に裏を返します。「都会人」は日頃、星を見ることがありません。実際には都会に住む人々でも夢を追う人なんて少数派なんでしょうけど。ここでは都会人=スターなので。つまり、この皮肉の意味はこうです。

「スターは自分が輝いてるから星が見えないんだね」

この物語では、「星」は二人をつなぐ思い出の象徴にもなっていたり、実際につかむべき目標のメタファーにもなってたりと本当にお星さまさま笑 だからこそ、「夏星」の伴奏に歌詞をつけよう!ってなったんですね。

そしてこれは余談ですが、歌詞がついた段階でタイトルを「星となるまで」に変えました。この方が主人公の決意が表れていいかなと当時は思ったんですけど、いざ動画を世に出すとなると、「タイトル普通過ぎやん?」となり急遽、戻しました。エゴサしやすい方がよかったっていうのもある(爆)

 

5.実は分かりにくい歌詞は苦手

最後に作詞のテクニック的な話を。

今回、我ながらちょっと頑張ったなぁというか、本当はこういう抽象度の高い歌詞、書くの苦手なんですよね。だから米津さんみたいなわけわからん歌詞憧れるんですけど。そんな中で一つ、よく使うテクニックというか、常套手段があるんです。それは、「慣用句を捻る」です。大々的に言うことでもないんですけどね。いろんな人やってますし。でも僕振り返ってみると本当多いなと。この曲でも、「踊り子」「喉の奥の手」と2つも出てるし。去年いとわさんとコラボさせていただいた楽曲「宵宮帰り」でも、めっちゃ出てるんですよね。

それは雀の涙だと嘲笑れたとて

これはいうてあんま捻ってないな、うん(なんやねん

まあ宣伝ですよ!!(開き直り)

聞いてね!!

 まぁ歌詞の抽象度の話また別の機会にでも書きます。

 

動画師さんに頼んだのでとてもクオリティ高いです。編曲のいとわさんの曲も聞いてほしい。めっちゃいいから。

 

更に更に!

お知らせ!!

「夏星」のoff vocalピアプロに投稿しました!歌ってくれる方がいたら泣いて喜びます!是非よろしくお願いします!笑 普通に聞いてくれるのも嬉しいです!!そして聞きにいくとちょっとしたサプライズも…⁇

そして!9月15日に新曲出します!!ポップなロック!梅雨明けの曲です!笑 まぁ最近雨続きだしぜひ聞いて少しでも心が晴れ晴れしたら幸いです。

 

6.「夏星」まとめ

お知らせで終わるのもなんか締まらないかなと思ったのでいい感じのこと言って終わりますね。校長かよ。無駄に長いよ。

初めに言いましたが、これは実際に僕の想いから生まれた歌詞です。

僕もこの曲から、夢に挑みます。

主コメにもこう書いた通り、しとろんというボカロPにとってもこの曲は「網戸を開ける」曲となりました。この決意を忘れないように、これから夢を追いかけ続けます。具体的な話は最初の記事でも言ってたり。

 

citron4869.hatenablog.com

 

兎にも角にも、必ずこれからもいい曲作ってやります。見てろよ世界。

 

という訳で、憧憬の歌「夏星」楽曲解説はここまで!

最後まで読んでくださったあなたに、多大なる愛と感謝を!!

 

え、5000文字オーバー!? なにこれ長ッ!!!